伊吹山

 伊吹山に電車とバスで行くことにした。朝、乗車を予定していた電車が5分遅れた。これにより乗り換えに2分しかない米原駅での乗り換えができなくなるかもしれないと心配した。しかし電車の本数が少ないので、遅延を考慮し乗り換えの電車の出発も遅らせるだろうと考え5分遅れの電車に乗った。もしそうでなかったら、この日の登山計画自体が白紙になっていしまうから心配ではあった。9時20分ごろ到着。乗り換える電車はやはりまだ出発させずに通勤する人たちを待っていた。米原駅から近江長岡駅へ2駅で到着。改札ではICOCAは使えないと言われ現金で支払う。駅からは伊吹山登山口行きの9時45分のバスに乗る。このバスに乗るのは、私ともう一人登山の格好をした女性の方のみだった。


 10時ごろ登山口から入山料300円を支払い登り始めた。一合目までの道は木々の中を歩いた。ペースが速くなりがちなのを抑えつつ歩く。登り始めにペースを乱さないことが大事という言葉を思い出した。一合目につくと標高400mあって視界が開ける。振り向くとすでに街全体が見渡せる景色が広がっていた。3人組の登山者が休憩していた。一合目以降はずっと開けた場所を歩くことになる。モチベーションが下がらないし、楽しんで歩くことができた。二合目では止まらず三合目まで行く。三合目に着いたのは11時30分ごろ。座っていると寒い。中に着たシャツが濡れて冷たかった。おにぎりを一つ食べ出発する。頂上の方を見ると、快晴にも関わらずなぜか頂上だけ曇がかかっていた。四合目以降傾斜がやや大きくなる。振り向くと常に美しい景色が広がっていて写真を撮らずにはいられなかった。途中街の方から音が聞こえてきた。それは美しい音で音楽ジャンルではドローンとかいったりするメロディや声もないぼんやりとした音像の持続音だった。振り返り耳をすませたのだが、おそらく私がいたのは標高1000mくらいの場所で街から遠く離れているにも関わらず、ちゃんと音が届くというのに驚いた。30秒も無いうちに音は消えた。けれども、それはとても素晴らしい体験だった。場所や自然、この情景にこれほどまでに合う人工音は思いつかない。もっと音を聴いていたかった。この音はおそらく町内アナウンスや音楽で、いろんな場所のスピーカーから出る音がごちゃまぜになって音が前後して耳に届くからそういう風に聞こえたのだろう。
 このあたりで下山客とよくすれ違った。七合目か八合目にベンチがあり、そこで休憩した。おにぎりを一つ食べた。このあたりから道が険しくなっていた。初心者向けという割に正直登るのが怖いところがいくつもあった。行きはまだいいけど帰りに降りるのが怖いんじゃないかと心配になった。頂上に到着したのは13時ごろ。風が強く寒かった。登ってきた方の景色は雲がかかっていてあまり見えなかった。その反対側の景色は山々が連なっているのだけど、こちらはよく晴れていて見渡せた。紅葉しているから山が赤っぽくなっていて綺麗だった。人は思ったより多く無かった。頂上やその周りを散策する。そして4人がけベンチでおにぎりを食べた。


 14時20分ごろ、下山。きっと降りるのが怖いだろうなと思っていた道はいざ降りるとあまり強くなかった。トレッキングシューズを履いているおかげで足をぐねる心配も無い。すいすいと降りることができて楽しかった。見える景色は白みがかっていた。頂上を見ると雲が一切かかっていなくて、タイミングが悪いなと残念に思った。私が降り始めた時はかなり遅かったので、人と全然すれ違わなかった。その方が私にとってはありがたい。自然の中に1人でいるその状況につい高揚する。下山は上りよりも楽しかった。二合目一合目あたりで前を歩いていた登山者たちに追いついた。若いカップルも2組いてそうやって気の合うパートナーがいることが羨ましかった。


 伊吹山登山はよかった。ペース配分でミスすることもなかったし、初めて履いたトレッキングシューズで慣らしてなかったので心配していたけど靴づれもなかった。右膝が八合目あたりから痛み出し、下山時も多少痛んだけど無事乗り切れた。登山は成功だった。大台ケ原がより本格的でちゃんとした登山で、充実感も大きい。そして私はもっと登山をしたいと思う。登山は面白い。